デジタル時代の写真は、どこかデジタルに支配されているように感じる。
マーケティングデータをもとに機能は拡張され続け、気づかないうちに、私たちの視覚そのものがソフトウェアの判断に導かれていく。
私はそれに抗うために、マニュアル撮影、ニュートラルな設定、可能な限り手を加えないRAWデータを意識している。
それでも、画像には常にデジタルの気配がある。ならば、デジタルが内包する、人間だけが感じ取れるごくわずかな力を用いて抗うことはできないだろうか。RAWデータを構成する最小の断片、まだ書き換えられていないビットの隙間には、センサーに触れた光の微細な「痕跡」が残っている。
その最小の残滓を拡張し、その存在を特徴的なイメージへと変化させる。
このシリーズは、デジタルの奥深くに潜む、ほとんど見えない「存在の痕跡」を増幅し、そっと現前させる試みである。
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